レーティングシステム
レーティングシステムとは、証券会社や運用機関等のアナリストが、企業調査・分析に基づいて理論上の企業価値(フェアバリュー)を算出し、当該企業の株価パフォーマンスの見通しを3もしくは5段階評価で格付けしたものです。いちよし経済研究所では、投資家の皆様に安心して情報をご活用いただけるようレーティングシステムを公表しています。
いちよし経済研究所のレーティングシステム
いちよし経済研究所では、フェアバリューと現在の株価を比較し、株価の割安/割高を判断し、下記のように3段階で評価しています。
フェアバリューの算出方法については以下をご覧ください。
当該銘柄の株価がフェアバリューに対し
A(買い): 20%超割安と判断する場合
B(中立): ±20%の範囲内と判断する場合
C(売り): 20%超割高と判断する場合
- ※その他の指標「リスクレーティング」・・・
- リスクは業績変動リスク、財務リスク、市場環境や競争状況などの事業リスク、経営者リスク等を考慮して、総合的に判断しています。リスクの大きさによりLR(ローリスク)、MR(ミドルリスク)、HR(ハイリスク)の3段階で表記しています。
いちよし経済研究所のフェアバリュー算出方法
いちよし経済研究所は中小型成長株を調査の対象とし、その企業の中長期の成長性を重視して評価していることから、企業が将来生み出すキャッシュフローを、現在価値に割り戻して企業価値を算出するディスカウントキャッシュフロー(DCF)法を用いてフェアバリューを算出しています。
なお、当経済研究所は中小型成長株の調査・情報提供に特化しているため、中小型株に特有のリスクを加味したマルチファクタ・モデルを採用しています。具体的には小型株には市場を上回るリスクプレミアムが考えられることから、小型株効果として企業固有のリスクプレミアムを加えた期待収益率に基づいてフェアバリューを算出しています。
一般的な式と異なる点は、小型株のリスクプレミアムと特定の企業に帰属するアンシステマティックプレミアムという概念を合計して、「企業固有のリスクプレミアム(※)」を加える点にあります。
- ※「企業固有のリスクプレミアム」・・・
- 一般的な式と異なる点は、RPs(小型株のリスクプレミアム)とRPu(特定の企業に帰属するアンシステマティックプレミアム)という概念を取り込んだ点です。
当経済研究所のバリュエーションでは上記の2つを合計して、企業固有のリスクプレミアムという表現を使用しています。
【計算式】
WACC = DD+E × rd(1-T) + ED+E × E(Ri)
E(Ri) = Rf + β × (RPm) + RPs + RPu
E(Ri) = Rf + β × (RPm) + RPs + RPu
- WACC : 加重平均資本コスト
- D : 有利子負債総額
- E : 株式時価総額
- rd : 負債コスト(税引前)
- T : 法人税率
- E(Ri) : 証券iの期待収益率
- Rf : 無リスク利子率
- β : ベータ
- RPm : 株式市場のリスクプレミアム
- RPs : 小型株のリスクプレミアム
- RPu : 特定の企業に帰属するアンシステマティックプレミアム(※)
- 特定の企業に帰属するアンシステマティックリスク
- 1)産業リスク
- 2)リターンのボラティリティ
- 3)レバレッジ
- 4)その他企業特有の要素
- 4-1)顧客ベースの集中度合
- 4-2)キーパーソンへの依存度
- 4-3)重要な供給者への依存度
- 4-4)異常な競争
- 4-5)起こりうる規制の変化
- 4-6)起こりうる訴訟
- 4-7)その他要因
(参考)(シャノン・P・プラット著)「資本コストを活かす経営」東洋経済新報社