新規公開株式(IPO)市場の概況

 前月号作成時点(2025年2月19日)以降、3月12日までにIPO5社が新たに上場承認され、年初来の上場承認社数は18社となった。上場月の内訳として、2月5社、3月12社、4月1社である。IPOは決算月である3月、12月に多くなる傾向にあるが、最近ではその向きが薄れつつあるようだ。なお、3月IPOの5年間(2020年~2024年)平均は15社であった。

 上記18社のうち、既に5社が上場している。同5社の初値は公開価格をすべて上回っている。一方で、公開価格に対する平均初値騰落率(初値が公開価格からどれだけ乖離しているかを示す)は32.7%と、2024年の通年実績30.9%と同水準であるものの低下基調である(図表1)。一方、図表2より初値日出来高回転率(初値日の出来高を公募・売出株数で除して算出(国内))は2.9倍と、上昇基調だ。IPOは内需株が多く、投資家のIPOへの注目の高まりが考えられよう。今後、3月のIPOラッシュを迎えても高い関心を維持できるか、注目される。

 また、上場した5社の平均資金調達額(国内の公募、売出額合計)は21.7億円と、5年間(2020年~2024年)平均調達額81.1億円と比較すると、かなり少額である。東証プライム市場へのIPOは調達額が大きくなる傾向がある中、今年はまだ、東証プライム市場へのIPOがないことが一因としてあろう。

 なお、上場を承認された18社の業種別では情報・通信が8社と、全体の44%を占めている。ほかに、サービスが5社、繊維製品、金属製品、その他製品、非鉄金属、建設が各1社である。

新規公開(IPO)社数と初値倍率の分布

(注)2025年は3月12日現在
(出所)各証券取引所資料よりいちよし経済研究所作成

初値日出来高回転率

(注)初値日出来高回転率=初値日出来高/公募・売出株数合計。売出株数にはオーバーアロットメントは含まれていない。2025年は3月12日現在
(出所)各証券取引所資料、Astra Managerデータよりいちよし経済研究所作成

IPOの資金調達額

(注)資金調達額=公募・売出額合計。売出額にはオーバーアロットメントは含まない。2025年は3月12日現在
(出所)各証券取引所資料よりいちよし経済研究所作成

ご留意いただきたい事項

  • この資料は情報提供を目的として作成されたものです。投資勧誘を目的としたものではありません。そのため証券取引所や証券金融会社が発表する信用取引に関する規制措置等については記載しておりません。
  • この資料は信頼しうるデータ等に基づいて作成されたものですが、その正確性・完全性を保証するものではありません。また、将来の株価等を示唆・保証するものでもありません。
  • 記載された内容・見解等はすべて作成時点でのものであり、予告なく変更されることがあります。
  • 有価証券の価格は売買の需給関係のみならず、政治・経済環境や為替水準の変化、発行者の信用状況の変化、大規模災害の発生による市場の混乱等により、変動します。そのため有価証券投資によって損失を被ることがあります。商品や銘柄の選択および投資の時期等の決定は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。
PAGE TOP
PAGE TOP