企業業績は堅調です

2026.10.09


 8月下旬からの停滞前線、台風の影響で、東京都心では9月30日で35日間連続の降雨を観測、2019年の6月下旬から7月下旬にかけての最長記録33日を更新しました。9月の東京都心の日照時間も、1988年に次いで過去2番目の短さになりそうとのことです。

 株式市場に目を転じると、7月以降は東京都心の天気を映じたような今一つパッとしない一進一退の展開が続いています。日経平均は6月25日の高値から7月29日には15%下落し、9月29日現在でも高値から10%弱低い水準にとどまっています。一方、市場平均を示すTOPIXは8月14日に最高値を更新、足元でも高値から4%弱低い水準で比較的堅調です。日経平均はAI関連のニュースを受けて一部の構成ウェイトの高い銘柄が乱高下している影響が大きいためです。投資対象銘柄は広がりをみせており、日経平均をTPOIXで割ったNT倍率は、一時18倍まで上昇しましたが、足元では16倍台まで低下しています。
TOPIXが堅調な要因の一つが企業業績の拡大です。今2026年度第1四半期(4-6月、以下1Q)発表後の会社計画の企業業績を集計すると、東証上場の代表企業で構成されるTOPIX500(除く金融)で、前年度比15%の経常増益です。2025年度決算発表時の5月に比較して10%pts.余り上方修正されました。アナリスト予想も6月段階から10%pts.余り上方修正され、前年度比24%の経常増益となっています(9月16日現在)。この企業業績が達成されるかどうか、一番気になるのは今後の為替動向です。会社前提の最頻値が150円となっていますが、素材、電機、自動車などの一部大手では160円前提としています。アナリスト予想は各社によって異なりますが、160円前後ではないかとみられます。ドル円で1円の円高は0.3~0.4%pts.の企業業績集計の下方修正要因となります。足元の為替水準(9月29日現在157円)であればアナリスト予想も数%pts.の下方修正を考慮しておけばよいでしょう。

 上場企業の足元の業績が堅調なことは、1Qの会社業績計画の発表で通期計画の上方修正が多かったことからも伺えます。コロナ流行による景気減速が懸念された2021年度も1Q発表時での上方修正が多かった記憶がありますが、通常は図表1の2023~2025年度で示したように1Qで会社が経常利益計画を上方修正した企業は数%にとどまります。対して、今年度は11.8%、社数でも2倍前後の多さです。
 
 1Qは通期の4分の1を経過したにすぎず、下半期の業界環境などの不透明要因を考慮して通期計画を据え置く企業がほとんどです。今年度に関しては、AI関連投資の拡大を受けて半導体、半導体製造装置、データセンターなどの幅広分野で想定以上に強い需要があり、下期以降も需要が見込めると判断されたと考えられます。また、製品・商品の値上げを考慮して期初の計画を控えめにしたこと、2月末のアメリカ、イスラエルによるイラン攻撃による景気減速懸念、ホルムズ海峡封鎖による原油価格高騰による調達コスト上昇などを考え、期初の計画が慎重であったとみられます。業種別にみても、1Qで経常利益計画を上方修正した201社の内2割弱が、半導体、半導体製造装置などの電機機器です。関連した素材を提供する企業を中心に化学も1割強を占めます。
 
 直近3期で1Qに経常利益を上方修正した企業の通期実績を見ると、5割から6割の企業で修正後の経常利益を1割以上上回っています。今年度も大幅な景気減速がない限り、1Qで上方修正した過半の企業の業績は修正値を上回ると考えられます。

 そこで、この1Qに経常利益を上方修正した企業の1Q以降の株価がどのように推移したかを見てみました。期間は1Q決算の発表が終了した各年度8月第3週末から年度末(3月)までです。上方修正企業平均の株価がTOPIXを上回るのは第2四半期(7-9月)決算が発表される10月までと比較的短期間でした。ただし、3月末でも若干ではありますがTOPIXを上回っており、パフォーマンスは決して悪いとは言えません(図表2)。

 3月期決算企業の1Q発表は来年度まで待たなければなりませんが、これから1Q決算を発表してくる6月期、7月期、8月期、9月期企業が570社弱あります。1Q時に経常利益を上方修正した企業の株価パフォーマンスも悪くありません。株式市場がすっきりしない空模様の時には、投資対象として堅調な業績が予想される上方修正企業を再考してみるのもよいかと考えます。
(9月30日記 山中 信久)

(図表1)2023~2026年度第1四半期での経常利益の上方修正企業推移
(注)母集団は東証上場全社(外国株を除き、Proマーケット上場を含む)の3月決算期企業で、期初に通期業績計画で経常利益を発表している企業から、各年度の第1四半期(4-6月)決算発表後にも通期計画を発表した企業
(出所)Astra Managerのデータを基にいちよし経済研究所作成


(注)母集団、対象は(図表1)に同じ)。期間は第1四半期決算の発表が終了した8月第3週末から翌年3月末まで。株価は各週末
(出所)Astra Managerのデータを基にいちよし経済研究所作成



 

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