資本コストや株価を意識した経営要請から2年が経過 ~PBR1倍割れ解消は業種により差

2025.06.20
トピック
東証は、2023年3月にプライム、スタンダード上場企業を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を行った。2023年3月末と比較して、プライム上場企業のPBR1倍割れ比率は47%から43%に低下し、ROE(中央値)は8.57%から9.15%へ上昇した。数値上の変化はわずかではあるものの、経営者の意識が変わり、以前に比べ投資家目線が浸透してきたことは、株式市場にとって大きな意義があると考える。

当経済研究所のユニバース(継続調査対象)銘柄のPBR(中央値)は2023年3月末の1.76倍から2025年6月は1.71倍とほぼ同水準にとどまっている。PBR1倍割れ比率も25%で変わらない。ただし、業種別にみると、建設・建設資材のPBR1倍割れ比率が78%から44%、物流・卸売の同比率は43%から22%へ大きく減少している。これら業種の改善は、(1)積極的な増配・自社株買い、(2)TOB/MBOが相次ぎ、セクター全体の株価が引き上げられた、(3)アクティビストの関与、(4)価格改定等による業績改善、などが要因として考えられる。一方、医薬品・医療機器、小売では1倍割れ比率が上昇しているが、個社要因が大きい。

個別企業でみると、木村工機(6231)、SWCC(5805)、放電精密加工研究所(6469)、イトーキ(7972)などが、この2年間で着実に資本効率を改善させ、企業価値を向上させている。

本レポートでは今後PBR1倍割れを解消しそうな企業を探るために、PBR1倍未満の当研究所ユニバース銘柄のうち、ROEの改善が見込まれる企業をスクリーニングした。具体的には、TREホールディングス(9247)、第一工業製薬(4461)、新田ゼラチン(4977)、田岡化学工業(4113)、サトー(6287)など17社をリストアップした。

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