中小型株企業の株主還元拡充に期待 ~配当政策の指標としてDOEへの注目度高まる

2024.06.21
トピック

企業が株主還元を強化している。東証の集計によると、東証上場3月決算企業の24.3期の配当総額は前期比9%増の13.6兆円と3期連続で過去最高を更新した。株主還元拡大の背景には、(1)業績拡大、(2)東証の資本効率改善要請、(3)アクティビストの働きかけなどがある。

投資家やアナリストの側でも株主還元に対する関心は高まっている。いちよし経済研究所のアナリストの企業レポートの中でも、株主還元の登場頻度が増えている。「株主還元」をタイトルに含む企業レポートの本数は、2021年までは年間1-2本だったが、2022年は11本、2023年13本、2024年は6月までの半年で12本と急増している。内容としては、企業の還元姿勢の変化を評価するもの、今後の還元拡充に期待するもの、が多い。

上場企業の配当政策の指標としてDOE(自己資本配当率)の注目度が高まっている。DOEは、株主が出資した資金(自己資本)に対してどれだけの配当を支払っているかを示す指標であり、「配当総額÷自己資本」で計算される。ROE(純利益÷自己資本)の利益を配当に置き換えたものでもあり、投資家にとっての資本効率を示す指標ともいえる。

DOEの高い企業は、配当性向かROE、あるいはそのどちらも高い企業である。資本効率が高いことが多く、長期的にみて株価パフォーマンスも良好である。当研究所が継続調査対象とするユニバース企業の中では、ジェイリース(7187)、ベース(4481)、KeePer技研(6036)、カチタス(8919)、システナ(2317)、シュッピン(3179)などのDOEが10%を超えている。


※DOEは株主資本配当率と呼ばれることが多いが、本レポートでは年間配当総額÷自己資本(期中平均)で計算。

ご留意いただきたい事項

  • この資料は情報提供を目的として作成されたものです。投資勧誘を目的としたものではありません。そのため証券取引所や証券金融会社が発表する信用取引に関する規制措置等については記載しておりません。
  • この資料は信頼しうるデータ等に基づいて作成されたものですが、その正確性・完全性を保証するものではありません。また、将来の株価等を示唆・保証するものでもありません。
  • 記載された内容・見解等はすべて作成時点でのものであり、予告なく変更されることがあります。
  • 有価証券の価格は売買の需給関係のみならず、政治・経済環境や為替水準の変化、発行者の信用状況の変化、大規模災害の発生による市場の混乱等により、変動します。そのため有価証券投資によって損失を被ることがあります。商品や銘柄の選択および投資の時期等の決定は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。
PAGE TOP
PAGE TOP